武術で必要とされる筋力

合気道をするには筋力がほとんど必要ないという話を良く聞きますが、かなりうまくならない限りはやはり筋力を使ってしまいますね。
脱力するにしても、まずほとんどの人間は自分の身体に力みがあることに気付かないので、その力みを感じようとすることがスタートです。


さて、養神館塩田剛三先生は力の集中力タイミングが大切だとおっしゃっていたそうです。
この話は身体の能力の中でも筋動員が大切だということを示唆していると考えられます。
以下ではこの筋動員について説明してゆきます。



筋動員とは

筋動員とは一度に使える筋繊維の割合のことです。
筋肉を使うときはすべての筋繊維が均等に力を出しているわけではなく、個々の筋繊維が交代で働いています。
筋動員が多ければ、少ない筋肉の量で大きな力を引き出すことが可能です。
ただし、休んでいる筋繊維は少なくなりますので疲労は早いです。


体重を重くできないけれど、力を必要とするフリークライミングなどではよく知られています。

パフォーマンス・ロック・クライミング

パフォーマンス・ロック・クライミング

この本に詳しく載ってましたよ。

筋動員を上げる理由

筋肥大が起これば当然その分体重が増え、体積も増えます。
これは一見、力が強くなり、防御力も高まったかのように見えます。
しかし、武器の使用を前提とした武術ではいくら筋肉を増やしてもたかが知れています。
それよりは無駄な重りは落とし、パワーウェイトレシオ*1を上げようという考えに行き着きます。
疲労が早いというのは確かですが、全力で動ける時間はいくらがんばってもせいぜい10秒程度なので大して違いはないです。


筋動員の向上は神経系の改善によってなされます。
このことは力を出そうとして、実際に出力が開始されるまでの時間の短縮にも繋がります。

レーニング方法

方法は簡単で短時間で最大強度の運動をすればよいです。
あくまで神経系の改善なので、筋肉を鍛えようという考えは捨てましょう。

*1:出力と重量の比。モータースポーツではよく語られる。