口伝は厄介

兵法家伝書―付・新陰流兵法目録事
柳生 宗矩 渡辺 一郎
岩波書店 (2003/04/16)
売り上げランキング: 4,282
おすすめ度の平均: 5
5 何事も、基本を抑えてこそ、です。
5


剣術、体術やるなら読んでおいたほうがいいかもです。
現代語訳はないのですが、言葉自体はそれほど難解ではなく注釈も付きますので普通に読めます。
構成は
   ・進履橋
   ・殺人刀
   ・活人剣
   ・目録事


んで、その中の進履橋「三学に就き、又五ヶの習い」の解説。


以下は私の考察で主観が多分に入るのでこれが正しいとは保障できません。


 一 身を一重になすべき事
目録事の絵を見ると分かるのですが、どうやら新陰流では相手に体側を向ける構をするようです。
これは相手に向かい合う面積を減らすという意味。
車輪の構(脇構)を見ても体を開いているように思えます。
以後、脇構を前提として話をします。


 一 敵の拳を我肩にくらぶべき事
相手の刀は拳の動きに導かれてこちらに向かってきます。
こちらは脇構えをしているので左肩が前面に出ています。
おそらく肩を間合いの基準として相手の拳の動きに注意せよということだと考えられます。


 一 我拳を楯につくべき事
相手は斬りかかってくるのでそれに反応して自分の拳を前面に送り出してゆくことになります。
結果、袈裟斬りになります。
詳細にはかかれてませんがここでおそらく前足と後足の入れ替えを行うはずです。
この動作によって体が入れ替わり相手の攻撃を無効化できるはずです。


 一 左の肱を延ばすべき事
袈裟斬りを初心者にやらせると左の肘が縮こまる事がよくあります。
なので、ここでの伸ばすという意味はなにも棒のようにピンと伸ばせという意味ではなく、縮こまらないようにしろという意味だと思います。


 一 さきの膝に身をもたせ、あとの膝をのばすべき事
これは構えた時の下半身の状態です。
前膝を曲げ体重を乗せ、後ろの脚を伸ばします。
前後の足を結んだ線が両肩を結んだ線に一致した状態になるはずです。
これがおそらく一重の構と言えるのだと思います。


やっぱり細かい意味は実際に稽古して補完しないと意味が分からないかもです。
でも、書いてあることを意識して稽古するとおもしろいです。