そろそろ武道の必修化について一言

先日、twitterで武道に関して議論したのですが、武道の必修化については意見を言っていなかったのでまとめます。
TsumuRiさんがtwitterのログを取ってくださいました。
http://spherical-moss.net/354/think-budo/

現状について

とりあえず、現状の武道教育がどうなっているか学習指導要領を見てみた。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301/03122602/008.htm


武道の内容については

F 武道

(1)自己の能力に適した課題をもって次の運動を行い,その技能を身に付け,相手の動きに対応した攻防を展開して練習や試合ができるようにする。

 ア 柔道
 イ 剣道
 ウ 相撲

(2)伝統的な行動の仕方に留意して,互いに相手を尊重し,練習や試合ができるようにするとともに,勝敗に対して公正な態度がとれるようにする。また,禁じ技を用いないなど安全に留意して練習や試合ができるようにする。
(3)自己の能力に適した技を習得するための練習の仕方や試合の仕方を工夫することができるようにする。


一方、その扱いについては

3 内容の取扱い
(1) 内容の各領域については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 第1学年においては,「A体つくり運動」から「E球技」まで及び「H体育に関する知識」については,すべての生徒に履修させること。「F武道」及び「Gダンス」については,これらのうちから一を選択して履修できるようにすること。
イ 第2学年及び第3学年においては,「A体つくり運動」及び「H体育に関する知識」については,すべての生徒に履修させること。「B器械運動」から「D水泳」までについてはこれらのうちから一又は二を,「E球技」から「Gダンス」までについてはこれらのうちから二をそれぞれ選択して履修できるようにすること。

(2) 内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までに示す事項については,各学年において次のとおり取り扱うものとする。

 〜中略〜

カ 「F武道」の(1)の運動については,これらのうちから一を選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,なぎなたなどその他の武道についても履修させることができること。

キ 「Gダンス」の(1)の運動については,これらのうちから選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,その他のダンスについても履修させることができること。

と書かれている。


まとめると

  • 武道かダンスどっちかを選択
  • 武道は柔道、剣道、相撲が選択できる。場合によっては薙刀およびその他もOK。
  • ある程度試合や攻防ができるようにする。
  • 武道を行う上での礼儀作法を守り、安全に練習できるようにする。
  • 練習方法を工夫できるようにする。


という感じです。
現在の段階でもかなり目標が高く設定されていると感じます。
私の中学生当時の記憶では体育で武道をしたのは三ヶ月程度でした。
三年間、木刀を振り続けてやっとそれなりの稽古に入れるというのが本来の武道の姿ですから正直短すぎなんですよね。
また、武道をすること自体が目的になっていることに違和感を感じました。
武道のそもそもの目的は目の前の人間を倒すことでしょう。
そのための手段が武道であって、さらに礼儀は自分が攻撃されないように相手を不安にさせないようにするためのものでそれ自体は大した意味を持たないはずです。

では必修にすべきかどうか

私個人の意見としては必修でも良いのではないかと考えています。
中学の授業程度では本当の稽古に入ることさえないのですからダンスをやっても武道をやっても大して違いはないですよ。
こんなのもあるよというきっかけ作りには良いんじゃないかと思います。
ただし、授業で行う武道に対して日本の文化や礼儀作法を背負わせるとなると話は違ってきます。
このレベルになってくると少なくとも毎日稽古して座学も必要になってくると感じます。

結論

授業の一環として武道を行うとなると期間が短すぎ中途半端になってしまう。
精神的な面まで到達するのはまず不可能。
授業として武道を行うならば、紹介や体験程度にすると割り切るべき。(実際そうだと思いますけれど)
必修になろうがなるまいが現状と大して差はないだろう。