等速の理由

私は師範代から技の途中はできるだけ等速度で動けと教わりました。
剣を振るとき粘土の中を動くように意識しながら振れと言われました。
等速度で動くことは加速して動くことより、かなり難易度が高いです。
なぜわざわざ難しい等速度の動きを採用するかというと、その方が見えにくい動きになるからです。


どうやら人間は物の動きを捉えるとき、速度の変化を見ているようなのです。
つまり、動きを微分して捉えているわけです。
等速度な動きは一見遅いけれど反応できない動きに見えます。
また、距離を稼げるという意味では実際に速いとも言えます。



上の画像は動きの速度をグラフ化したものです。
赤が理想的な動きで、青がやってしまいがちな動きです。


赤は動きの立ち上がりと立ち下がりがかなり急です。
ただし、トップスピードは青より遅いです。
つまり、速度の変化がある時間を極力少なくし、等速な移動にほとんどの時間を使ってます。


一方、青は立ち上がりと立ち下がりが赤に比べてかなりなだらかです。
そして、ほとんどの時間を加速か減速に使っています。
そのためトップスピードは赤より速いです。


さて、ここで速度の時間積分が移動した距離ということを思い出しましょう。
x = \int \left({dx \over dt}\right)dtです。
このことから赤のほうが早い段階で距離を稼げるわけです。
まぁ、この図は実際に実験したものじゃなくて、たぶんこんな感じだろうと考えて描いたものなので信憑性は無いんですけどね。