人は人を殺せるか?


「人殺し」の心理学
「人殺し」の心理学
posted with amazlet on 06.02.11
デーヴ グロスマン Dave Grossman 安原 和見
原書房 (1998/07)
売り上げランキング: 927,387


これ実は名著だと思います。
著者は実際に戦争に参加した兵士の話を聞くことによって調査を行っています。
この結果をもとに人が人を殺すことによって示す反応を分析しています。
そのため、きちんと”科学”しているので好感が持てます。
調査対象が軍人なのである程度、精神的に普通の人の反応を扱っているといえます。
これが犯罪心理学系の本だと調査対象がいわゆるサイコな人なので一般性が薄いと思います。


この本を読んで分かったことは「普通、人は殺人を嫌悪する」ということ。
結局のところ人は人を殺したがらないということです。
そのため、職業的に殺人を行わざるを得ない人は自分の心を守るため、以下のようなことをするわけです。


 ・合理化(〜だから、あいつは殺されて当然のやつだ)
 ・責任の分散(命令されたから殺した、命令しただけで直接殺したわけではない)
他にもあった気がしますが、一番大きいのはこの二つかと思いました。


この本の最後の方に残虐なゲームや映画の影響について書かれていましたが、この部分には少し疑問があります。
確かに残虐な表現に対しての耐性はできるかもしれませんがゲームや映画の中の出来事では攻撃的な条件付けをするには少し弱い気がします。
少なくともゲームの中の人は現実の人と別物という意識が常に存在すると私は思います。
まぁ、実際にゲームをしたグループとまったくしないグループで対象実験をすれば分かるかもしれませんね。


つづく。